【マイナスの利子を持った貨幣】2013/04/06 8:23 PM

皆さんが銀行に預金しているお金には、利子が付きます。これはもう、当たり前ほどに当たり前すぎて誰も疑うことがなくなっていますが、この利子が付くお金というのは、人類の歴史の中ではまだ日が浅い存在だったりします。

エ ジプト文明は3000年も続きました。この時点で、我々が産業革命以降積み上げてきた歴史とはまた桁が違う長さを存続してきたということになるわけです が、その長い間の反映を支えたのは、穀物の通貨制だったのではないかと言われています。実際、ローマに占領されたと同時に入ってきた別の通貨制(これは現 代の通貨制度とほぼ同様)が敷かれるとほぼ同じ頃に滅びています。

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エ ジプトではどういう通貨を使っていたかというと、毎年農民が年貢として収める穀物を寺院に預け、その預かり証を神官が発行してました。この預かり証は、神 官に見せて依頼すれば穀物に換えることができたため、穀物にその価値を裏付けられた貨幣であるわけです。ひとまず食うことができれば人間は生きながらえる ことができますので、価値の証明としては十分です。

とこ ろが、いくら砂漠のエジプトといっても(文明が栄えていた当時は温帯か熱帯の気候だったらしくジャングルだったという説もありますが)ネズミはいるし湿気 で穀物がカビてしまうということもあった。なので、保管はしっかりしていても穀物というものは時間の経過とともに価値が減っていくものであるわけです。

と いうわけで、預けた穀物の価値が下がることを前提として、その穀物の価値を裏付けとして持っている預かり証についても、時の経過と共に価値が下がっていく という仕組みが取られていました。つまり、下手に自分の手元に置いたままにしておくと、どんどん価値が下がっていくわけです。こうなると、いつまでも預か り証の形でもっておくよりはなるべく別のモノに交換してしまった方がいいというインセンティブが働きます。皆さんさっさと市場に持って行って他の食べ物な どに交換したそうです。で、受け取った店の側も同じで、さっさと別のものに交換した方が良いので、神官の所に持って行って穀物にしたわけです。

こ んな具合に、皆がこの通貨である穀物の預かり証を「貯め込む」というインセンティブというか発想がそもそも無かったため、ものの売買がものすごい速さで 回っていたそうで、不況も起きなかったそうです。そのおかげで、エジプトは3000年の長きにわたって反映を続けることができました。

こ の仕組みに倣って、世界各地でマイナスの利子を持った地域通貨を自治体が発行するという試みが広がっています。有名どころはアメリカの「イサカアワー」 で、この通貨を発行しているイサカ市では普通に、ほぼこの通貨だけでの生活も成り立つそうです。穀物を価値の裏付けにしているわけではないのですが、イサ カアワーには有効期限が週単位で決められており、その期限を越えて利用する場合には、数十セントのスタンプを貼っていかなければならない仕組みになってい ます。これが、一年間、つまりは50回繰り返すとその券面と同じだけの費用を払うという仕組みになっているため、皆さんやはり急いで使おうと考えるらし い。

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このため、ものすごい速さでこのイサカアワーは通貨として市場を流通し、あっという間に発行した側のイサカの市役所に戻ってくるらしいです。普通のお金と比較すると3倍程度のスピードでモノやサービスと交換されているらしいです。

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お 金を誰かが溜め込み、流通が無くなった状態が不況ですから、この仕組みであれば不況はそもそも発生し得ないということなんですね。入院などのいざというと きに大金が必要になった場合にはどうするのかという点はあるにしても、エジプトの文明が3000年もこの通貨制度の上で存続したということに学ばなければ いけません。


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